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ECアナリスト/ネット通販コンシェルジュ遠藤奈美子のブログ

ヤマト運輸『クロネコメール便』廃止の衝撃

ヤマト運輸が2015年3月31日の受け付け分をもってクロネコメール便を終了すると発表しました。

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クロネコメール便の廃止について | ヤマトホールディングス

メール便は厚さ1cmなら送料80円という安さと、ポストに投函されるため受け取りの必要がないという利便性の高さから、ネットショップでも様々な商品の発送に使われていたため、ネット通販業界でも衝撃が広がっています。

ヤマト運輸が発表したメール便廃止の理由は、

「お客さまが知らないうちに信書を送ってしまうリスク」を防ぐため

メール便信書を送った場合、運送業者だけでなく送り主も罰せられる可能性があることから、利用者を保護するためにサービスの廃止を決めたということです。確かに、メール便信書を送れないことを知らない人は多く、しかも信書に該当する文書かどうかの判断基準が分かりづらいという問題がありました。

しかし、廃止の理由はそれだけなのでしょうか。

近年、ネットショッピングの普及に伴って取扱量が増加し、宅配業者の疲弊が問題視されています。メール便は厚さ2cmまでなら160円で送れるという安さと、メール便1通から集荷に来てくれるというサービスの良さが魅力でしたが、取扱量の増加に伴って、採算が取れなくなってしまったということも廃止の背景にあるのではないでしょうか。

 

メール便廃止の発表と同時に、4月1日からは非信書に限定した「クロネコDM便」と、通販やオークション市場の拡大で増加する「小さな荷物」の宅配ニーズにこたえるための2つの新しいサービスを開始すると発表されています。

宅急便のサービス拡充について | ヤマトホールディングス


①    クロネコDM便
事前に内容物の種類を確認できるカタログやパンフレットなど「非信書」に限定したサービス。
・対象:法人のみ
・料金:未定

②    専用BOXで送る小さな荷物
宅急便60サイズより小さめの2種類の専用BOXで送る、通常の宅急便と同様の対面手渡しサービス。
・対象:法人、個人
・料金:専用BOX代込みで400円台から(各種割引サービスを使用した場合)

③    薄くて小さな荷物
厚さ2.5cm以内の薄い荷物をポストに届けるサービス。
・対象:法人は事前に内容物の種類と発送手続きが必要、個人の場合はヤマト運輸と契約したフリマサイト利用時のみ利用可能
・料金:②より安価になる予定

いずれもサービスの詳細は3月に発表されるとのことですが、気になるのは料金設定。おそらく現在のメール便より高い料金設定になることが予測され、ネット通販業界に与える影響は大きいと考えられます。現在、メール便での発送ならショップ側が送料を負担して送料無料にするといったサービスも多く、4月以降はネットショップ側と消費者側、どちらも送料の負担が大きくなることは間違いないと考えて良さそうです。

 


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